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株式投資に役立つ統計学(1):概要-なぜ投資に統計学が必要なのか?

投資に必要な統計学

株式投資統計学は必要でしょうか?私は最低限の統計学の知識は必要だと考えています。

その理由は、(1)株価を構成する要素が非常に大きいため、未来を完全に説明することは難しく、また(2)このような複雑な現象を表現するうえで統計学は相性が良いからです。

この記事では、株式投資に役立つ統計学を考えるための前置きを書こうと思います。

天気予報が外れる理由

天気予報を例に考えてみましょう。数値予報は、物理学の方程式により、風や気温などの時間変化をコンピュータで計算して将来の大気の状態を予測する方法です。*1

過去のデータを総動員して、物理学の方程式に代入すれば降水確率が計算されます(実際はもっと複雑な処理を行っています)。

中学や高校の数学で「関数」という単元がありました。例えば、y=x+1のようなものです。このとき、xの値(天気予報の例では、風や気温のデータ)を代入すれば、yの値(降水確率)が"たった1つ"に決まります。

天気予報でも同様で、天気が物理学の式(=関数)通りに動くのであれば、理論上、結果はたった一つに決まり、天気予報が外れることは無いはずです。

実際に、近年の天気予報の精度はとても高く、明日の降水の有無であれば、的中率は年平均で86%にもなります。しかし、天気予報を信じて傘を持っていかなかったのに、雨に降られたという経験がある方は多いと思います。

これは、降水確率の計算に使用する物理学の数式が唯一無二のものではなく、誤差を含んでいる(=結果がばらつく)ことにより起こります。

また、結果がばらつく原因は非常に多岐にわたり、複雑に関係しあっています。そのため、ばらつき全てを考慮した式を作ることは不可能です。

当たるか外れるかではなく、どのくらい当たりやすいかを提供する

こうした問題に対しては、結果がばらつくのは「仕方ないもの」と考えて、どのくらいの範囲になるか(当たりやすいか)という情報を提供することが役立ちます。そうした情報を提供する学問が統計学です。

統計学では、大雑把に言えば、「平均」の要素と「誤差」の要素の2つで結果を予測します。ここで言う平均は、いわゆる「平均値」よりも広い概念です。

平均は、大まかな結果の動きを表し、予測可能な部分です。一方、誤差は予測不能なばらつきを表し、不確実性を一手に引き受けます。

平均と誤差を分けて考えることで、予測不能な誤差を分離し、平均の動き(=物事の本質)だけに注目できるのです。

これにより、当たる確率(平均の役割)と、どれくらい当たりやすいか(誤差の役割)の2つの要素で、当たりやすさの範囲を表すことができます。

投資の場合も統計学の考え方は同じ

投資でも、株価を構成する要素は非常に複雑です。業績だけでなく、為替、政権、金融政策、テクノロジーの進歩、天災、その他、様々な要因が複雑に絡み合って株価が構成されています。天気予報と同じです。

そのため、株価の上昇を予測する際、的中率を100%にすることはできません。

そこで、統計学の出番です。株価がどれくらい上がるか or 下がるかを「平均」の要素で表し、それがどのくらいの精度なのかを「誤差」で表すことができます。

平均が高い投資対象であれば、株価の短期的な上下はあっても、長期的にはプラスとなります。これは、投資向きといえます。

逆に、投資対象の平均が0であれば、株価の変動は完全に偶然のみで決まり、投資よりは利ザヤで稼ぐ投機に適しているといえます。

このように、投資か投機かを区別し、適切な投資対象を選ぶためには、平均と誤差を分離して考える、すなわち、統計学的な考え方を身に着けておく必要があります。

投資を行う際には、「何を買えばよいか」の前に、まずは「どのように株価が構成されているか(=動くか)」という基本を理解しなければならないのです。

本シリーズの目標

統計学的な考え方は、一度理解すれば、株式投資に限らず、保険選びや病気の治療方針の選択など、幅広い場面で役立ちます。

株式投資に役立つ統計学と題していますが、これから投資を中心に、統計学の考え方を、斜め読みできるように易しく書いていこうと思います。より詳しい、数式を用いた説明は、必要があれば別記事にするかもしれません。

もし分かりにくい点や間違いなどありましたら、コメント欄でご指摘・ご質問頂けますと幸いです。

それでは、長い目でお付き合い下さい。